2023年8月– date –
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遠い昔の事
遠い昔の事 その11
韓国に着いて3日目。 少しはこの状況にも慣れてきた。 今日は10時に病院でイさんと待ち合わせだ。 今日の予定はまず父に会う。 ベッドサイドまで行ける事も昨日確認した。 それから父の荷物を受け取る。 そして最大にして最難関の父のオンナと会う。 昨晩... -
遠い昔の事
遠い昔の事 その10
店のシャッターを開けるためカギをカギ穴に差し込もうとすると “ヨボセヨ、ヨボセヨ”と中から聞こえた。 誰かがシャッターの向こう側にいる、声の主は父だ。 その後も多分、韓国語で何かを話してる。 トーンからして何か楽しいことを話しているようだ。 し... -
遠い昔の事
遠い昔の事 その9
院長先生の部屋に戻り今後の事についての話が始まった。 “先ほどお伝えしたように当院での治療はこれ以上できません。” “つきましては日本の病院にてこれより先の治療をお勧めします。” えっ、さっきはまだベッドサイドにさえ行けないと言っていたのに 動... -
遠い昔の事
遠い昔の事 その8
“コンコンコン”失礼します。 引き戸か押戸か、はたまた横にスライドかは忘れてしまったが少し重いドアを開け 母と私とイさんは中へ入った。 大きな黒の革張りの椅子の背が見えた。 そしてゆっくりと時計回りに院長の姿が見えた。 今でこそだが、このシーン... -
遠い昔の事
遠い昔の事 その7
気持ちを強く持ちタクシーに乗り込んだ私は道の高低差とタバコとにんにくの臭いで 直ぐに気持ち悪くなった。 昨日と違い黄色かオレンジ色のタクシーで気分は上がったが 違うものまで上がってきたようだ。 こんな時に頼りになるのはイさん。 バックミラー越... -
遠い昔の事
遠い昔の事 その6
グ~キュ~ おなかが鳴って目が覚めた。 頼れるガイドのイさんとの待ち合わせはホテル前に9:00 まだ朝食をとる時間は十分にある。 母はすでに起きていてベッドの端に座っていた。 “朝ごはん食べに行こう”と声をかけると “そんなにおなか空いてないんよ”と... -
遠い昔の事
遠い昔の事 その5
六年三組、今日は遠足で奈良に行く。小学校から駅までみんなで2列で歩く。先生に先導されながら駅までのわずかばかりの距離を歩くだけだ。友達とこれから始まるイベントをあーだこーだと笑いながら話していた。“ざわざわ、ざわざわ”なんだか前の方が騒がし... -
遠い昔の事
遠い昔の事 その4
えっ、このタイミングでまさか…まだ空港から出て数分も経っていない状態でしかも大役としての心の準備も出来ていない状況の中でわたしはまたもやパニック状態に陥ってしまいそうになる。あわわ、あわわとは声には出ないがその時の顔ならあわわ顔の選手権上... -
遠い昔の事
遠い昔の事 その3
大役を任されたのと初めての海外ということもあり、その時の事はほぼ記憶にはないが大きなワゴン車に大人が6,7人乗っていたと思う。空港に行くまでの車内は日本語とハングルでまくし立てる様に話す声が2,3ヵ所から聞こえその声がどんどん大きくなってい...
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