遠い昔の事 その7

気持ちを強く持ちタクシーに乗り込んだ私は道の高低差とタバコとにんにくの臭いで

直ぐに気持ち悪くなった。

昨日と違い黄色かオレンジ色のタクシーで気分は上がったが

違うものまで上がってきたようだ。

こんな時に頼りになるのはイさん。

バックミラー越しに見た私が気分が悪いことをすぐさま気づいてくれて運転手さんに

窓を開ける様に言ってくれたようだ。

わたしは何とか持ちこたえた。

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私が小学生のころ夏には毎年、母の故郷に車で里帰りしていた。

2時間ほどの距離だったがサービスエリアには4,5回止まっていたと思う。

母は乗り物酔いがひどかった。

家から高速の乗り口に行くわずかな距離

でも持たなかったこともある。

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そんな母を横目に見ると全くそんな気配は無い。

昨日とはうって変わって背筋も伸び

しっかりと目を見開いている。

病院との距離はそんなに遠くなかったようですぐに到着した。

それほど大きな病院ではなかったと思う。

受付をイさんが手早く済ませてくれて。

まずは搬送時に処置していただいた

先生に説明を受けたように思う。

イさんが母とわたしの横に立ち、聞き取りやすく

はっきりした言葉で次々に訳してくれた。

搬送時に意識はあったようで、すごく痛みを訴えていたようだ。

それから直ぐに意識がなくなり現在に至るようだった。

少し気になったのがお酒を結構飲んでいたらしい。

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その日、部屋にいたわたしは

/トゥントゥントゥン♪/

/トゥントゥントゥン♪/

となる音が気になり廊下に出た。

その音の先には父と母の部屋があった。

母がしきりに父を制する声が聞こえる。

わたしは気になり父と母の部屋を覗き込んだ。

顔は真っ赤で上半身は裸、下はステテコ。

日本のより二回りくらい大きめの鼓を持っている。

それを腹の前で横にして首から赤い紐で下げ先の曲がったスティックのようなもので

喜色満面に叩いている父の姿があった。

母曰く、お友達との会食で上機嫌になった父は普段ならコップ1杯で顔を真っ赤にするような体質なのに、その日は何杯か飲んだらしい。

わたしには耐性があったので、これが家の中で良かったと心から思った。

先の件と違ってこれが外ならさすがにアウトだろうと思う。

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次に担当の先生に説明を受ける。

先ほどは廊下だったが担当の先生の説明は

先生の個室で聞くという。

イさんが先生の個室に入る前に

教えてくれた。

“先生はこの病院の病院長か副院長”だと。

母もわたしも緊張の面持ちで部屋に入った。

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